コナンめも日和

「名探偵コナン」についてサンデー中心に書いています。

サンデー付録『拳の書』感想

※以下ネタバレを含みます。


週刊少年サンデー21・22合併号の付録。

名探偵コナン 紺青の拳』で青山先生がどんなところに関わったのか、原画や設定、絵コンテが細かく掲載されています。

この『○○の書』シリーズは、『純黒の悪夢』公開時からの恒例企画で毎年楽しみにしています。

『拳の書』は「こぶしのしょ」ではなく「フィストのしょ」と読むそうで、『紺青の書』ではなかったのが意外でした。


全12ページの特別小冊子。

表紙
プロット キャラデザ
絵コンテ2ページ
原画5ページ
絵コンテ2ページ
裏表紙

という構成で、昨年は監督との対談がメインでしたが、今年は絵コンテなどがしっかり載っています。

シネマガジンのインタビューで先生は、レオンとリシのデザインを直したと発言されていましたが、
その2人のキャラデザ修正画が掲載されているのは貴重ですね。

レオンは丸々描き直したそうですが、注目はリシ。

安室や新一に似ていたデザインを修正、その赤の入れ方に先生らしさが出ていて結構興味深かったです。

プロットもOPまでの流れが描かれていて、『から紅の恋歌』の時を思い出しました。

確か『から紅』の時もOPまでの流れを青山先生が絵コンテなどで描いていた気がします。

今回絵コンテでは、青山先生が蘭とニセ新一のやりとりに丁寧に手を加えており、どのタイミングで蘭が気付いたのか注釈で追記してあるのも面白いと思いました。

ちゃんと注釈があることで蘭の行動にも説明がつきますし、改めてこういう細かい動きをもう一度見返したくなりますね。


コナンがあたふたして 蘭と目線が合う場面や、キッドに変装した新一とコナンのジト目アイコンタクトなど、映画で印象に残っている場面はどれも青山先生が手を入れている場面なので、本当に凄いなぁと感じました。

新一に変装したキッドが京極と対面する場面に、『怪盗キッドVS京極真』のワンシーンを入れるという工夫も青山先生。

このシーンがあるかないかで本当に印象が変わってくるので、何気ない場面ですけれども重要ですよね。


プールの蘭とニセ新一を見て、「あ~~くそっ!」となるコナン。

元々の絵コンテでは、がっくりと肩を落とすだけだったところを、コナンの感情を爆発させより一層インパクトの残る場面に… みなみさんの演じ方も気合いが入っていましたしね(笑)


絵コンテに青山先生が「このシーン オレが描くよ」とコメント入れているのも興味深かったです。

毎回こんな形で描く原画を決めているんですね。

蘭、園子、京極……そして、ラストの蘭、コナン……

特に照れている京極さんはほぼトレースだとのことですが、しっかり青山先生のタッチが反映されていますよね(笑)

ラストの蘭とコナンも、最後蘭がコナンを抱き締めて、コナンが照れる展開だったみたいですが、それは先生があえて無しにして、コナンの表情をラストカットにする見せ方に変更。

ある意味この抱き締める蘭は、コナンとの最初の出会いのオマージュを意識したものだったのかもしれませんが、それはアーサーくんと出会う場面で少し描いていますし、ほっこりする終わり方に変えたのかもしれませんね。

しかも照れ線が入っていたのをなくす形に変更というのも、先生のこだわりが見えますね(笑)


クライマックスでコナンがキッドに「船首の方へ」と指示を出したところも、あえてコナンの「蘭達が心配だ」という言葉をカットすることで以心伝心、意志疎通のとれた2人に。

撃たれたキッドが倒れる場面はおそらく永岡監督が追加したんでしょうが、セリフが思い付かず青山先生に合うセリフを書いてもらうことに(笑)

本当に一瞬の言葉遣いだけなんですが、青山先生の手を入れると青山ワールドが作られていくんですよね。

永岡監督も脚本の大倉さんも、「助けて青山先生!」といったやりとりをしていたとインタビューで話されていましたが、本当に青山先生のアイデアって劇場版にとって欠かせないものなんだと改めて感じました。


この『拳の書』に収録されているもの以外にも、青山先生がアイデアを出したところはいっぱいあると思います。

『拳の書』を握りしめて、いざ映画館へ!