コナンめも日和

「名探偵コナン」についてサンデー中心に書いています。

小説『ゼロの執行人』感想

※劇場版のネタバレも含みます。

劇場版名探偵コナンでは、毎年映画公開に合わせて、
ノベライズも発売されています。

11人目のストライカー』の時から毎年のことになっていますが、
映画では時間の都合カットされてしまった場面なども描かれていて毎回楽しみにしている一冊です。


昨年『から紅の恋歌』の時には、脚本を書いた大倉崇裕さんが
脚本最終稿を元に小説を出したのですが、本編との違いもかなり多く、
色々と驚いた部分が多かったのも懐かしいです。


そして今作『ゼロの執行人』

小説といっても、小学館のジュニア文庫から出ているので
一般書籍ではなく児童書コーナーに置かれていることが多いみたいですね。

それでもベストセラーのランキング上位、児童書ランキングにもトップでランクインするくらい売れているようです。


内容としては、劇場版本編の通りに話が進むのですが、

大きくポイントになってくるのは「警察庁」「警視庁」「検察庁」の組織図がきちんと載っていることですね。

境子先生のセリフでも説明されていますが、補足として載っているので大分分かりやすくなっていると感じました。

それでも分からないと感じたら、映画のパンフレットや『シネマガジン2018』にも詳しいものが載っているので、
これもかなり参考になると思います。


「警察」と「検察」の発音が似ていて分かりにくい、と脚本の櫻井さんも話されていましたが、
やはり小説ではそのあたりが読んで分かりやすいなと感じました。


そして小説と映画で大きく違うのは、犯人 日下部誠検事の心情が書かれている点ですね。

劇場版本編では、回想などで日下部検事の思いが書かれていましたが、
小説ではコナンと安室に追い詰められる際の感情などが所々に書かれていて
映画を観た後に小説を読むと、なるほど…と思うところも多かったです。


そして、無人探査機「はくちょう」のパスコード

映画でも一瞬だけ映りましたが、小説でははっきりと書かれています。


青山先生が注目してほしいと話をされていた、黒田管理官のシーン

ある意味「映像でしか表現できない」シーンなのですが、小説では残念ながらカットされてしまっています…

『異次元の狙撃手』のノベライズでは、ラストシーンに「赤井秀一」と書かれていましたが、
今回は小説として表現するのは難しかったみたいです。


一方映画でカットされてしまい、小説で書かれている場面の話。


コストコらしきスーパーでの安室と風見の棚越しのやりとり。

その後映画では「安室さーん」と呼ぶ声が聞こえますが、
実は小説ではその後の安室と梓のやりとりが書かれています。


他にも些細な動きやアクションシーンの細かい描写など小説ならではの表現が多い印象でした。

特に安室が「僕の恋人は…この国さ…」と言う場面。

忠実に動きを描いていて、読んでいてついドキリとさせる感じになっていました。

小説は映画とはまた違った味わいもあり面白いですね。


元々櫻井武晴さんが書いた脚本はもっとダークな感じになっていたそうですが、
やはり元々の脚本も読んでみたい気もします。