コナンめも日和

「名探偵コナン」についてサンデー中心に書いています。

『ゼロの書』感想

ゼロの書』感想

※『ゼロの執行人』のネタバレも含みます。


今年も『○○の書』シリーズの季節がやってきました。
今週のサンデー付録『ゼロの書』

青山先生が劇場版のどんなところに携わっているのかがよく分かるので
毎年楽しみにしている一冊です。

純黒以前は毎年恒例の原画にワクワクドキドキしていましたが、最近はコンテやシナリオの修正など
今までもおそらく関わっていたけれど、明らかになってこなかった部分がこうして付録などで見られるようになって
本当に嬉しいです。


今回は青山先生と立川監督との対談がメイン。

毎年大幅に先生が追加されていますが、今回も最初のシナリオ段階からガラリと変わったようで驚きました(笑)



まず、羽場二三一はもともと死んでいる設定だったんですね…

雑誌の立川監督と櫻井さんの対談でも「最初はもっとハードな話だった」と言っていたので、
公安警察が羽場を実際に自殺に追い込んだ、降谷零(安室透)がさらに悪として描かれる展開という
櫻井さんの脚本でよくある観終わった後にもやもや心に残る感じに仕上がっていそうです。

さらに実は生きていて、警視庁の屋上での合成トリックも面白いと思いましたが、これも後から追加されたものなんですね…

ただそうなると日下部からコードをどうやって聞き出すのかという疑問も残りますが。

もしかすると、羽場から電話がかかってきて、コナンの変声機で日下部を騙す作戦だったのかも?

とはいえども、日下部にとって羽場が実は生きていたと思ったら、結局死んでいたというのもなかなかに苦しい展開…

あの合成トリックは、コナンらしい着地点といえるのかもですね。


おっちゃんも今よりももっと酷い目に遭っていたというのも意外でした。

爆発に巻き込まれたり、軽い脳震盪を起こしたり…

監督はそのあたりうまくバランスをとったんだなぁ…という印象を持ちました。


探偵団のドローン操作がうまくなる描写や コストコでの安室と梓のやりとりは、青山先生の案。

緊張感のあるストーリーの中にバランスよくラブコメやコメディ要素を詰め込みつつ、それが伏線にもなっているというのはさすがだと感じました。


蘭「新一、頑張ってくれてるんだね。お父さんのために…」
新一「バーロ…オメーの父さんのためだけじゃねぇっつーの」
というやりとりも良かったんですが、
ここは先生が追加したのかどうなのかも気になりました。


そして今回も先生は監督とLINEのやりとりをしていたようですが、『から紅』の時はもっと大変だったみたいですね…

個人的には、静野監督はキャラクターの動かし方や関係性に苦戦していた印象ですが、
立川監督はそのあたりうまく描いていたなぁ…と感じたので、先生とのやりとりもうまくいっていたのかなという印象がありました。


先生も立川監督の手腕はかなり誉めている部分は多いですが、IoTテロの前が「長かったかな…」とコメント。

ただ前半のヒリヒリした展開がある分、後半のスペクタクルな展開に繋がるのでそれはそれで良かったのかも…

もし静野監督が作った場合、おそらく冒頭の「国際会議場の爆破」と中盤「IoTテロ」をもっとコナンや安室を絡める形でアクション的な要素を加えて動かしたかもしれないな…と思いました(笑)

監督によって映画の作り方ってこんなにも変わるんだ…と感じたのが今回の『ゼロの執行人』でした。

昨年『から紅の恋歌』脚本の最終稿が小説になり、劇場版本編との違いに驚いたのですが、

今回は特報の段階でシナリオにあるセリフを使ったり、監督と脚本の対談が実施されたりと
監督のやりたいことと脚本のやりたいことをうまくブレンドさせて
最終的に作り上げていったんだなぁ…という印象を持ちました。


さらっと『ゼロの執行人』とは「安室透の執行人である、コナンのこと」だと書かれていますが、
まさにその通りですね(笑)

他にも捉え方はたくさんあるんですが、執行人を協力者のことだと考えると、降谷零であったり、風見であったり、橘境子であったり、
そして「ゼロ=公安警察」を「失効」したいという意味でも、日下部誠であったり、
色んな人が『ゼロの執行人』だった訳ですよね…

単純にカウントダウン「ゼロ」になった時に執行する者たちといえば、
コナンと安室になる訳ですが…


「そうすれば、君の本気の力が借りられるだろ?」
「…かいかぶりすぎだよ」

これも先生の原画。
シナリオの隅に書いたコナンのエピソードが可愛い(笑)

コナンを描いた原画は本当に久々。

異次元の「了解」前のコナン以来ですね。

ここ最近は赤井や安室や平次や和葉がメインだっただけに、ちょっと嬉しいです。

来年はキッドを描かれるでしょうが、個人的には園子の原画に期待したいです。

園子、今まで劇場版フル出場なのに一度も原画に描かれたことないので、来年こそは。


蘭&園子メインの紺碧の時でも描かれなかったので、来年はあるはず…と思っています。